鉄地 梟飛来村落図鍔

江戸時代




 梟は独特の鳴き声であるゆえ、民話にもしばしば登場する。里や村にも出没し、夜目と脅威の聴力で狩を行う。
 現在ではフクロウ=不苦労、富来労とかけ、縁起のよいものとして婚礼や土産物、商売繁盛などに広く使われているが、古来の日本では梟は死の象徴とされ、見かける事は不吉であるとされていた。

本作、鉄はこれといった特徴もなく、出来は並である。真鍮で表した梟が木の枝に止まって獲物を探しているようだ。同じく真鍮象嵌で草を渋く演出している。夜行性なので、静まりかえった夜の村に梟が飛来してきたのだろう。はたまた、飢饉や重税にあえぐ村落の廃れ感を出しているのだろうか。
 裏面は山水で、夜目のきく梟が遥か彼方をみつめているようだ。江戸時代の厳しい状況を現している鍔に思える。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

上沢御所!へ

下野戦国争乱記へ