飯野要害(仮)

(栃木県茂木町)

 

 

 

飯野要害(仮)は栃木県茂木町飯野にある山城。

 「城郭大系」や「栃木県の中世城館跡」に掲載されていないため、(仮)とさせていただいた。

 

「芳賀の文化財」の北古屋城(茂木町)のページに一文がある。

北古屋城の西側にリュウゲンレイと呼ばれる山があり、物見台のようなものがあるとの伝承が残るという。

 リュウゲンレイは、おそらく要害嶺が転訛したので、飯野要害(仮)とした。

 

P113の山で、比高3040mくらいでしょうか。

城の東部に神社があります。地元の方々により、加茂神社、金比羅神社、愛宕神社が合祀されています。

そんなに山は高くないですが、主要部は藪がひどくて苦労します。もと耕作地だったようで笹薮の嵐。小城とあなどっていたら、けっこう広いし複雑な形をしている。思ったより時間がかかりました。

 

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飯野要害(茂木町飯野)縄張図

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主郭は70m×50mほどで、さらに北に40mほど突き出た逆さT字型をしている。主郭の高さは2m4mほど。一部に土塁を残し、腰曲輪または堀が全周している。

主郭の西に堀切を設けて山と分断している。虎口のようなものがある。

主郭の南は腰曲輪があり、虎口のようなものもあるが、耕作地への入口も何箇所もあり断定できない。

 

主郭から東側が一番面白い。東の尾根は土塁と堀で区切られて、それが竪堀に繋がっている。腰曲輪にも竪堀がある。城の東部はあまり敵に移動されたくないようで一段と警戒されている。

 

東の尾根上に加茂神社などが祀られている。金比羅神社と愛宕神社は合祀されているので、昔は別の場所にあったのだろうか。この辺りは自然地形だが城の一部と思われる。竪溝や段々もあるが、道なのか崩れたのか判然としない。東に神社へ登ってくる道が作られている。登城路だろうか。

 

リュウゲンレイの東と南は谷となっており、敵の侵入を阻んでいる。

その谷を隔てた対岸に北古屋城がある。

 

 

 

 

総括

 

 リュウゲンレイ(飯野要害)は、芳賀の文化財によると物見台の伝承と書かれていた。しかし、城と腰曲輪と堀が全周しており、東に横堀と竪堀があるなど防御を備えた城である事が分かった。サイズも意外と大きい。単なる物見台程度ではないと思う。

 

 東側に北古屋城があるが、これとの関係性は分からない。

 飯野要害の警戒は東方面に向いているから茂木家の城だろうか。北古屋城も北東方面を向いているから、那珂川のほうを警戒していたのだろうか。

 

 飯野郷は、南北朝から室町時代の文書によると、茂木一族や茂木家臣が領した重要な地である。やはり茂木家の城だろう。

 

 

 

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