長氏居館(足利市)

ちょうし きょかん あと

 

 

 

 

 庭園付き、水道管、滝、池がある居館跡。滝があるの!?見たい。

 マジか!!

 ・・・水道管ってなんだ??

 

 

まあ、普通に考えれば往時の居館に庭と池かあったんでしょうが、今まで城跡をそのような視点で見ていなかったので、池を見たくて来ました。

 

201812日、正月だ。

 

 

足利市の調査によると、足利市樺崎町の塩坂に長氏居館跡があるという。

全然知らなかった。「城郭大系」や「栃木県の中世城館跡」に漏れている城跡はたくさんある。名鑑モレってやつですな。

 

 

塩坂には、樺崎寺あたりから入る。そこから北東方面に入った細い谷地で、奥に行くと峠道になってドン詰まり。この先は車で行けるのか!?国土地理院の地図だと、道があったり消えたり…。行かないっすけど。

峠の向こうには、佐野市田沼の大網城が見張っている。すると、一応こっちも長家が居館を構えて見張っていたのだろうか。

 

戦国時代の長家は足利長尾の家臣だという。

 

 

 

で、長氏居館跡なんですが、場所が分からん。川の側ってことだけ。足利市文化財のなんだか資料では、地図が小さすぎて塩坂あたり??ってことしかわからない!!

車で行ったり来たり。全然わからん。地元の方に聞いて、やっと教えていただきました。やっぱり、地元の方は知ってるのねん。

 

 

庭園付き居館についての論文によると、川じゃないほうの三方を土塁で囲み、山の裾を堀で区切り。あとね、水道管で水を通して、滝、池があるって。

 

 

では居館跡へ。拡大図。

 

 

 

 

  Aの石積み。

これは後世の民家か畑か。

 

 

そしてBを進むと池跡が見えてくる。

 

 

 

Cの池―!!

写真じゃよく分からない。

池は高さ約5m土塁の手前にあります。少しぬかるんでいる。写真右奥の小山には石が積んであり、庭石に見える。風流じゃのう。

 

 

↓Dの滝。

 

滝の跡。上から見たところ。確かに竪に凹んでいるが、写真じゃ分からん。

ここから水が流れていったってことか。

 

 

 

   E堀切と土塁。  

そして、滝の山側にある堀切。折れている。

ヤブがひどくて分からない。確かに山と館を分断している。

 

 

 

 

 

↑しかし不思議なのが水の流れ。

 

滝の上は、横に長い堀で一番高い位置にある。ということは、さらに上から、この位置に水が流れ込んでこなければならない。この上に水源があればいいのだが、なだらかな山があり、周囲に水が分散してしまうような山の形をしている。水を吸い上げる技術があったということか?

トヨとか?

鎌倉〜戦国時代にそんなことやってる余裕あるのかな。雨でも降れば少量の水は流れるかもしれないが、堀は南北に下がっている。そちらのほうに水は流れていくだろう。常時滝を流すとすれば、重量に逆らう話になってしまう。やはりトヨ?

水はどこから流れてくるのだろう??

 

 このような場合、どのように「D滝」から下の「C池」に流せるのか、分かる方いらしたら教えていただけませんでしょうか。

 

 

 

図面のFは、居館跡と伝わる。

ただの平ら。北側の平地は城なのか全然わからない。発掘調査が行われたので、その時に崩したり、埋めたりしたら往時の形なのか分からないですよね。西の遺構はOKでしょうけど、それ以外はどこまでが遺構なのか不明です。というか、北、東、南側は、遺構か?と思われるものすら無い。

 

論文によれば、館の範囲は50m×40m

その範囲をあてはめるなら、北はFから南はGの堀までですね。

そして、西はDの堀切から東は「東端」って描いたところあたりまでです。すると、大体50m×40m

 

  

 

 

 

まとめ。

完全な城としての遺構は西側だけ。山と館を分断する堀。そして、池のようなスペースがある。池は歪曲した瓢箪のような形で、突き出した庭石もあり、往時は雰囲気の良い庭園だったことがうかがえる。

 

滝が流れるというシステムは不明。水の流れを説明できない。枯山水かな。

居館の平場や石積みは、畑や現代の民家になっていた可能性もあり、遺構との判別ができない。

 

足利市の塩坂には長さんがたくさん存在する。

長姓で有名なのは、戦国時代の能登畠山家臣・長続連たちだろう。それよりはるか以前の鎌倉時代、足利に関連の深い足利義兼の庶長子・足利義純は、畠山重忠の乱で混乱した畠山家を継承しており、何らかの形で足利に移住した長一族がいたと考えてもおかしくはない。

南家も足利家の関係で名草に住んだという。長い時代、活躍したんだなぁ。

 

 

 

 

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